当診療科は糖尿病学、臨床栄養学を専門領域とする内科診療科で、主として糖尿病、糖尿病合併症、栄養障害など糖尿病・栄養疾患の分野を担当しています。
当科は、病院においては、糖尿病・栄養内科として外来、病棟の診療を担当しており、学生・研修医の教育を行っています。
当教室は日本内科学会、日本糖尿病学会などの認定教育施設として、糖尿病専門医の育成に努めています。
中央診療部門においては、医師、管理栄養士からなる疾患栄養治療部として、院内の栄養指導、給食業務などの栄養業務の他、Nutrition Support Team(NST)の構成員として、栄養疾患の治療に幅広く対応しています。
また、研究部門としては、大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学講座として、基礎的、臨床的研究機関を形成しています。
わが国では近年糖尿病患者数は激増し、平成19年には890万人に達し、合併症による健康寿命の短縮、増え続ける医療費など、医療経済的に見ても深刻な事態に陥っています。
また、継続的に受診している患者は約半数に過ぎず、専門医を受診している患者さんはわずかです。
このように、専門医の不足もあり、質の高い医療が十分に達成されているとは言い難い状況にありますが、一方で患者さんの専門医外来受診指向もあり、糖尿病専門医のニーズがますます高まっています。
当科では、糖尿病専門医認定教育施設として、専門教育に力を入れ、これまでにも多くの専門医を輩出しています。
また、当科のユニークな点としましては、臨床内科学講座としては唯一の栄養学教室であり、多数の管理栄養士が当教室に所属していることがあげられます。
病棟回診、クリニカルカンファレンスを医師、栄養士がともに行い、患者本位のきめ細かい療養指導を実践しています。
そして、管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師らとともに糖尿病のチーム医療を実践し、糖尿病療養指導士の養成にも努めています。
さらに、NST活動により、院内の栄養部門としての役割はますます増大しています。
さらに、わが国におきましては、生活習慣病、特に糖尿病対策については積極的に取り組む必要があるとの認識から、
平成17年に日本医師会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会の三者からなる糖尿病対策推進会議が設立されました。
京都府におきましても、同年に三者からなる糖尿病対策推進事業委員会が発足し、当科もその活動の一環として、
京都府立医大や京都府医師会、京都糖尿病医会とともに、糖尿病の発症予防、早期発見・治療、合併症の予防を目指して、
医師向け、コメディカル向け、患者さん向けの講習会や病診連携の推進などを積極的に行っています。
一方で、多様な病態を呈する糖尿病の診療に、より高い専門性が求められています。当科はこれまでにも肝胆膵・移植外科などとともに、わが国の膵島移植の拠点として先進医療を行ってまいりました。
また、糖尿病の成因やインスリン分泌機構、インクレチンの作用などに関する多くの先駆的研究を行ってまいりました。
また、臨床栄養学につきましては今後ますます臨床におけるエビデンス作りが求められると思います。
今後も教室員一同、臨床と研究に邁進し、多くの可能性を秘めた若い医師や医療スタッフを育成し、高い専門性をもった医療を推し進めていく所存です。