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人ごとではない、糖尿病の脅威
糖尿病という言葉はほとんどの方がご存じだと思いますが「自分にもその危険があるかも…」と身近に考えたことはあるでしょうか? 日本人の食生活がゆたかになるのに伴って糖尿病は増加の一途をたどり現在では患者数700万人、糖尿病の危険を有する予備群を含めると1500万人とも言われています。
そう、人ごとではないのです。

ある日整形外科から紹介されてきた60才の女性。足がすみのように黒くなり、傷口が深く大きく開き、筋肉まではっきり見えているのに、本人はあまり痛くないらしい。 10日位前に足に小さな傷ができ、その後腫れて黒くなったため来院した。最初に受診した整形外科の先生が糖尿病性エソを疑い血糖を測ると400mg/dlもあったというので内科に送られてきた。 患者さんによくよく聞いてみると12年前に糖尿病と言われたことがあるが、症状もなにもないのでそのまま放置していたという。 おそらく糖尿病のために神経も障害され、痛みを感じなかったらしい。この人は、再び整形外科へ帰って右足を切断するはめになった。 その後血糖がよくなると痛みも感じだしたというが、切断された足は二度と生えてこない。

こういう人は決して稀ではなく、突然眼がみえなくなり眼科を受診したところ糖尿病がわかった人、足がむくんで内科を受診したところかなり進んだ糖尿病性腎症が見つかった人、などの悲劇が後を絶ちません。 すでに糖尿病と言われたことがあるのに、病気に対する知識や理解がないのか、或いは理解しようとしないため放置していてみすみす取り返しが付かないことになってしまうケースも多いのです。 「糖尿病」というと食べ物の制限というイメージが強く、自覚症状が軽いこともあってこの病気を無視してしまうのでしょうか。

糖尿病の合併症によってこのような不幸な事態を招かないようにするためにも、 糖尿病を予防し、あるいは糖尿病にかかっても合併症を防止するために、どうすればよいのかを学びましょう。 糖尿病はうまくつきあえば怖い病気ではありません。 ただ合併症がどんどん進とこれほど怖い病気はありません。

正しい知識を身につけることから第一歩が始まります。


*改訂版はこちら| 作成・管理 鍵本伸二


目次

● 遺伝的体質と糖尿病
  その1:糖尿病って本当に遺伝するのでしょうか
  その2:日本人は糖尿病になりやすい

● 糖尿病で恐いのは合併症です
  その1:糖尿病性網膜症
  その2:糖尿病性腎症
  その3:合併症、多くは血管の病気
  その4:糖尿病性神経障害
  その5:合併症の進行と体質
  その6:糖尿病患者さんの生命予後

● 糖尿病に負けないために
  その1:糖尿病は治りません、でも・・・
  その2:予防が第一

● 糖尿病に必要な検査
  その1:診断を下すための検査
  その2:コントロール状態を評価するための検査
  その3:合併症を早期発見するための検査

● 糖尿病の食事療法と運動療法
  その1:なによりもまず食事療法
   適正摂取カロリーの算出
   食品交換表の利用
   カロリー制限だけではないのです
  その2:運動療法、無理は禁物

● 糖尿病の薬物療法
  その1:低血糖
   余談:低血糖の時にケーキを食べていた患者さん
  その2:糖尿病の飲み薬
  その3:インスリン注射

● 糖尿病に負けないために・続編
  その1:妄信は禁物、迷信・民間療法
   余談:よくある嘘のパターン
  その2:シックデイ
  その3:糖尿病治療の最先端