糖尿病に負けないために‐糖尿病教室|糖尿病 食事療法 治療 京大病院 栄養内科





糖尿病教室

■その1:糖尿病は治りません、でも・・・
「ひとたび糖尿病といわれたら一生付き合わなければならない」 というようなことをよく聞きます。 残念ながらこれは真実です。糖尿病の原因の少なくない部分を占めるのが生まれつきの体質(遺伝的素因)であり、 この遺伝的素因は変えようがありません。少なくとも現在の医学では糖尿病を根治することは不可能なのです。
しかし糖尿病は恐ろしい「不治の病」ではありません。 上手に付き合えば糖尿病に負けないことは出来るのですから。 糖尿病はその合併症が恐いわけですが、言い方を変えれば、合併症さえ出なければ恐れるに足りません。
つまり、合併症に苦しむことなく一生を送ることが出来たら、 糖尿病に負けなかったといえるのではないでしょうか。 では、糖尿病に負けないためにはどうしたらいいのでしょう。

■その2:予防が第一
糖尿病に負けない最善の手段は、言うまでもなく発症を未然に防ぐことです。糖尿病の遺伝的素因を持って生まれてきた人が、100%糖尿病を発症するわけではありません。 糖尿病の発症には加齢、食事や運動の習慣、ストレスといった環境要因も関与しますので、努力してこれらの要因を軽減すれば、糖尿病の発症を防止できる可能性があります。 発症を完全に防ぐ事が出来なくても、発病や進行を遅らせることが出来れば、それだけ合併症で苦しむ恐れを減らす事が出来ます。
運悪く発病してしまった場合でも、合併症が進む前に発見して正しい治療を続ければ、糖尿病に負けることはありません。 そのためには、「早期発見早期治療」が大切です。 さらに、合併症も早期に診断して正しい対処をすればそれ以降の進行をくい止めることは可能ですから、 「早期発見早期治療」の原則は 糖尿病発病以後の合併症対策についてもあてはまります。それでは糖尿病予防のための具体策を見ていきましょう。
まず、自分が糖尿病の遺伝的素因をどの程度持っているかを若いうちに把握しましょう。自分から見て近い親族に糖尿病の家族歴が複数あればとくに注意が必要です。 ただし、家族歴が見あたらなくても「遺伝的素因がなさそうだから不摂生をしても安心だ」 と決めるわけにはいきません。 なにしろ、ほんの数十年前まで日本人は貧しい食生活を強いられていたのですから、糖尿病の遺伝的素因を持っていても発病しなかったケースも多いはずなのです。
もう一つ大切なことは、定期検診を受けることです。 検診で糖尿病そのものが発見される場合や、糖尿病になりやすい体質を指摘される場合もあります。 肥満、食べ過ぎ、運動不足、お酒の飲み過ぎといった危険なライフスタイルについて注意を受けることもあるかも知れません。
検診を受けたらそのままにせず、 そこで受けた生活上の注意や医学上の指示を守ることが大切です。 残念ながら、検診で糖尿病を発見されていながら放置して、 みすみす病気を進行させてしまうヒトが案外多いのですが、これでは話になりません。
ちなみに、糖尿病が軽いうちは、空腹時には血糖が正常で食後にだけ上昇する場合が多いですから、 糖尿病を早期発見するためには、できるだけ血液検査を食後に受ける方がいいでしょう。



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