臨床研修・大学院のご案内

臨床研修について

当科では、医師臨床研修(初期研修)、専門研修(後期研修)において、皆さんが医師として必要な知識とスキルを効率的かつ効果的に習得できるよう、教育関係病院と連携して、強力にサポートします。結婚や妊娠出産、病気による休職などの様々なライフイベントに合わせて、できる限りの対応も行っていますので、ご相談ください。当科や教育関係病院のスタッフへの就任、大学院進学、国や企業への就職など、みなさんの希望するキャリアパスにすすみ、やりがいを感じながら活躍できるよう継続的に支援をおこないます。

なお、新専門医制度による専門医研修を通して、内科専門医に加えて、内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医、糖尿病領域専門医などから、皆さんが希望する専門医資格を取得することが可能です。もちろん、旧専門医制度による専門医研修も随時受付可能です。

医師臨床研修(初期研修)

  1. 1年次ローテイションの研修目標

    他の内科診療とともに、病棟での患者診察とケアの基本を修得することを目標とする。

    1. 診療チームで患者さんに最も近い立場として患者診療とケアを担当できる基本的な能力を身につける。
    2. 上級医、コメディカルなどとの意思伝達が積極的、的確にできるコミュニケーション力を身につける。
    3. 全科に共通する基本的な医療面接、身体診察に習熟する。
    4. 日々の診療録への迅速・的確な記載、退院サマリーの期限内完成など診療に必須の基本的タスクに習熟する。
    5. 一般的な臨床検査、画像診断に関して、的確な検査計画、基本的な所見評価が可能となる。
    6. 緊急的な処置に際して、チームの一員としての役割を果たすことができる。
    7. 栄養療法、患者教育、療養指導の重要性について認識を深める。
  2. 2 年次ローテイションの研修目標

    糖尿病・栄養内科の専門性、あるいは関連診療科の専門性をみすえた診療技能を修得する。

    1. 食事療法、運動療法、薬物療法の基本について修得する。
    2. 患者さんの生活背景、社会背景について的確に聴取できる能力をみにつける。
    3. 糖尿病患者教育、療養指導に参加する。
    4. 糖尿病の成因・病態分類、網膜症、腎症、神経障害の診断・重症度について的確な検査計画、基本的な所見評価が可能となる。
    5. 動脈硬化性疾患についてのリスク評価と緊急度の認識ができる。
    6. 糖尿病チーム医療の一員として、他業種(看護師、栄養士、薬剤師など)との連携、情報伝達ができ療養方針決定について積極的にかかわることができる。

2 年目に糖尿病・栄養内科とともに、ローテイションが推奨される診療科としてICU、救急部、循環器内科、腎臓内科、神経内科、その他の内科診療科などが挙げられる。

専門研修(後期研修)

糖尿病専門医取得をめざし、以下のような臨床経験を網羅するように研修をおこなう。

経験すべき症例

  1. 急性代謝障害
    糖尿病ケトアシドーシスと高浸透圧性非ケトン体性昏睡
  2. 1型糖尿病(以上のうち2つ)
    急性発症、緩徐進行型、劇症
  3. 遺伝子異常による糖尿病(MODY、ミトコンドリア異常などのうち 1 つ)
  4. その他の疾患、条件に伴う糖尿病(以上のうち3つ)
    a.膵疾患、b.内分泌疾患、c.肝疾患、d.薬剤
  5. 妊娠糖尿病もしくは糖尿病合併妊娠と計画妊娠
  6. 思春期青年期糖尿病
  7. 高齢者糖尿病(社会的、身体的側面から治療に工夫を要した症例)
  8. 増殖網膜症をともなった糖尿病
  9. 腎症をともなった糖尿病(3期、4期、5期すべて)
  10. 神経障害をともなった糖尿病
    (有症状の多発性末梢神経障害、自律神経障害もしくは単神経障害)
  11. 大血管障害を合併した糖尿病(脳梗塞、虚血性心疾患、ASOすべて)
  12. 足病変(潰瘍、壊疽など)をともなった糖尿病
  13. 重症感染症をともなった糖尿病
  14. シックデイとなった糖尿病
  15. 外科治療周術期の糖尿病
  16. 高度の肥満(BMI35以上)を伴う糖尿病
  17. 低血糖症
  18. 境界型耐糖能異常

経験し解釈ができる検査法

  1. 血糖コントロールの指標
  2. 経口ブドウ糖負荷試験(I.I.、HOMA-R も含む)
  3. 内因性インスリン分泌の評価(空腹時 CPR、グルカゴン負荷 CPR、尿中CPR)
  4. グルコースクランプ法
  5. 間接カロリメトリー
  6. 加速度計による運動量の評価
  7. 体組成評価

経験すべき治療法

  1. 食事療法(計画、指導、合併症を伴う例に対する対処)
  2. 運動療法(計画、指導、合併症を伴う例に対する対処)
  3. 経口薬物療法
    (SU薬、グリニド薬、ビグアナイド薬、αグルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬すべて)(副作用例の経験がのぞましい)
  4. インスリン療法(強化療法、CSIIを含む)
  5. 膵島移植
  6. 糖尿病患者の高血圧管理(大血管障害合併例、腎症合併例を含む)
  7. 糖尿病患者の脂質異常管理

経験すべき療養指導、患者教育

  1. 患者に対する自己血糖測定、自己注射の指導
  2. フットケア指導
  3. 糖尿病教室の実施
  4. コメディカルとのチーム医療による療養困難例への対処
  5. 院外教育活動(患者会への参加、ウオークラリーへの参加、小児サマーキャンプへの参加など)

外来診療

  1. 糖尿病初診患者に対して、的確な診断、治療方針の決定ができる。
  2. 耐糖能異常が疑われ来院した受診者に対して、的確な検査計画、結果説明ができる。

学会発表

糖尿病臨床に関する筆頭者としての学会発表2例
(糖尿病学会年次学術集会、糖尿病学会地方会、内科学会地方会など)