臨床研修・大学院のご案内

糖・エネルギー代謝に関する研究

肝臓・代謝グループでは、肝臓や褐色脂肪組織(BAT)による代謝制御機構の解明や臨床栄養学研究などを行ってきました。
 肝臓研究においては、糖尿病治療薬であるメトホルミンの肝臓における作用機序の解明を行い、eNOSが肝臓における血糖低下作用に関与することを明らかにしました(Diabetologia. 53: 1472-1481. 2010.)。メトホルミンについては抗がん作用が注目されており、肝腫瘍細胞の増殖抑制効果とプロテアソームの関係について報告しています。eNOS作用が、糖代謝の制御に関与することに着目し、eNOSの補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)が肝臓糖新生を抑制する効果を報告しました。さらに、SGLT2阻害薬による肝臓代謝効果に関与する因子の探索を行っています。トランスレーショナルリサーチにより、BCAAに属するバリン・ロイシンが肝臓代謝効果を反映するバイオマイカー候補であることを見出しました。
 BAT研究においては、BATを用いた糖尿病・肥満症の治療薬開発研究を行い、BH4のBAT活性化作用を報告しました。BATの活性化および分化・増殖に関与する低分子化合物のスクリーニング研究を行い、複数の候補化合物を見出しています。さらに、ヒトにおけるBATの代謝学的役割を明確にするために、BATを非侵襲で評価するためのイメージングプローブの開発に着手しています。

 臨床栄養学研究においては、栄養指導に活用するための食品摂取を反映するバイオマーカーの開発について、メタボローム解析の手法を用いて行っています。これまでにヒトサンプルと食品自体のメタボロームサンプルを統合的に解析し、食品自体の成分が体内で修飾を受け、抱合体として存在する動態を見出しています。