ヒトiPS細胞を用いたステロイド産生細胞・血管細胞分化誘導研究
私たちは動脈硬化病変を基盤とした虚血性疾患に対する血管再生療法、新たな治療法開発を目的とし、胚性幹細胞からの血管分化につき研究を重ね、ヒトES細胞、後にヒトiPS細胞からの血管(血管内皮細胞および壁細胞の双方)分化研究および脂肪細胞分化研究を実施し、世界に先駆けてその分化誘導に成功した歴史を持ちます。それらの研究で培われた基盤技術を背景として、様々な血管関連疾患特異的疾患iPS細胞(もやもや病、多発性嚢胞腎、CADASIL他)を用いた血管病態解明研究を各研究機関と共同して実施し、成果を挙げてきました。更に血管細胞分化誘導のみならず、ステロイド産生細胞(副腎皮質細胞)分化誘導研究にも取り組み、ヒトiPS細胞からステロイドを産生する細胞の分化にも成功しました。具体的にはiPS細胞センターとの共同研究にて、iPS細胞由来OSR1陽性細胞を単離した後に副腎皮質分化のマスター遺伝子であるSF-1を遺伝子導入することで誘導に成功しています。今後、この誘導法を洗練・改良することで副腎疾患の病態解明に利用できる分化誘導系を確立することを目的としています。